story
「パン屋 福笑」 から「bakery+ arinomamma」へ
美味しいだけでなく身体が喜ぶパンを
食べる人だけでなく、作物・パンを作る人にとっても身体にやさしいパン作りを
今だけでなく、未来の子ども達に美しい自然を残していけるパン作りを
そんな想いは今も、これからも変わりません。
じゃあ どうして?
「ふくわらい」に込めたもう一つの意味。
お正月に楽しむお多福さんの顔を目隠しして作っていくゲーム。
上手くできると「お多福さん」が笑顔になります。
失敗しても、みんなで笑い合えます。
そんな風に、うまくいっても、失敗してもみんなで笑い合いながら
許し合いながら、認め合いながらいられたらいいな。
そんな「やさしい笑いがある角にこそ福来る」そんな想いがありました。
店主は、不器用。
俗にいう仕事ができるタイプの人間ではありません。
小さい頃から「きれいなもの」「食べること」が好きでした。
勉強・運動は得意ではなく、学校に行かない時期もありました。
そんなマイペースでやさしい少年が
「美味しいを誰かと一緒に共有できたら嬉しいな。」
と想いをはせながら、酵母菌達と向き合い、パンと向き合いパンを作る。
そこには店主の「ありのまま」の姿があるように感じます。
得意も、苦手も、凸凹全部ひっくるめて「ありのまま」で
その人らしく生きていくこと
それを認め合うことが、素敵な世界を作っていく。
「ふくわらい」のようにそれを笑い合いながら楽しめる世界になればいいな。
そんな想いを店名にしました。
「パン屋 福笑」から、肩の力を抜いて、より私達らしく
bakery+ arinomamma
パン作りへの姿勢は変わりません。
アレルギー体質の店主。
農薬を使用している小麦粉でパンを捏ね続けると肌が荒れます。
酸化した油を取りすぎると肌がかゆくなります。
お肌の弱い少年は、自分がパン作りを続けていくためにも素材を選び
丁寧にパンを作ります。
「ありのまま」でいるということは、相手の「ありのまま」を受け入れること。
多様性を受け入れることだと考えています。
人間は、地球という惑星に生かされている小さな存在。
自然と共に生きることが本来の姿。
自然の恵みを享受して、感謝して、種をいただき、また種を繋いでいく。
そんな自然の営みを、本来の「ありのまんま」を確認できるパンでありたい
場所でありたいと願います。
実は、今回の移転場所も相当悩みました。
自然豊かな場所の方が、オーガニックや無農薬の材料
環境に配慮している福笑の「イメージ」に合うのではないか。
お客様に期待されているであろう「イメージ」に応えるには。
私たち自身が抱いている「福笑はこうあるべき」。
自他がもつイメージ(自分たちで作ってしまっている「枠組み」)と向き合い直しました。
でも「本当はどうしたいのか?」「何を大切にしたいのか」
それを問うた時の答えは、「ゆっくりご飯を食べる時間」「家族と過ごす時間」
「何かに追い立てられるのではなく
その時その時を丁寧に積み重ねていける心のゆとり」でした。
まずは私たちの暮らしと働き方を見直そう、と。
そして、家から近い場所でお店をしようということになり
自宅のある大和西大寺でお店を開くことにしました。
緑に囲まれてパン作りをしたいけれど…実は虫嫌いな店主。
田舎で暮らすことが大切と感じたら、その時に田舎に移動します。
それまでは、私の地元大和西大寺で、母校の伏見校区で、パン作りに励みます。
そして、「ありのままに」というメッセージを発信していけたらと思います。
まずは、私達が肩の力を抜いて、使命感や何かに追い立てられるのではなく
自分自身としっかり向き合い、本当に心地よいと感じることを
面白いと感じることを「ありのまま」に表現してみようと想います。
その結果、成功するのか、失敗するのか…ある意味「実験」ではありますが
そんな凸凹人生も悪くないのではと、わくわくしています。
店守 妹尾 秀美