ナカツカサファームさん訪問
ナカツカサファームさん訪問
子どもができてから改めて「食べ物で、人の体はできている」ということを実感するようになりました。
「食べることは、生きること」
丁寧に作られている食べ物は、やはり体に負担が無く、すっと身体に入ってくる。
そして何よりも美味しい!出来る限り、農地や環境、食べる人、作る人のことに配慮した「やさしい食材」を選んで、その素材を活かせるようにパンを作っています。
現在当店のパン作りでは、国産無化成肥料小麦(南部小麦)をメインにして、国産有機小麦(春よ恋)、兵庫県産の有機小麦(ゆきちから)を使用しています。
少し前になりますが、兵庫県の豊岡で有機栽培をされているナカツカサファームさんを訪問させていただきました。
お子様のアレルギーをきっかけに、奥様のご実家である豊岡にて移住され農業をスタートされた中務(なかつかさ)さんご家族。お野菜や小麦・蕎麦等、農薬を使用せずに栽培されています。
山間部にある畑は澄んだ空気と綺麗な水が流れる場所。
こんな気持ちのいい場所で育った小麦は美味しいに違いない。
そう思わせてくれる場所で、小麦を作っておられました。(実際に香りが良くておいしいです!)
お伺いした時期は、小麦の収穫が終わり、そこで蕎麦を育てられている時期でした。
現在苦労されているのは、近年小麦畑に雑草が生い茂り収穫量が大きく減ってしまっていることだそうです。
除草剤などを使用しないので、雑草の除去が追い付かず、小麦にいくはずの栄養が回らないため、収穫量が慣行栽培の収穫量の4分の1程度なのだそうです。
ただでさえ手間のかかる有機栽培なのに、収穫量が減ってしまうと生業として大変です。
「でもこれは農家として言い訳でしかないんです。」と中務さんは仰りました。
日々試行錯誤されていることが重々伝わってきて、当店と同じだな…と思ったのですが、「農業は1年単位。だからまだ試行錯誤は10数回しかしてないんだよ。」
そんな風に、さらっとおっしゃる中務さんの真摯な姿勢に心打たれました。
それと同時に、これだけ大切に育てられた小麦。
大切にパンとして、皆様にお届けしなければと改めて感じました。
また気候の変化に伴う、虫の発生の仕方も変化しているそうで、今年はテントウムシが大量発生して、茄子がやられてしまったとのお話をお伺いしました。
大切に育て、順調に育っていた作物が、一気に虫や天気でやられてしまう。
農家さんはそんなリスクを負いながらも日々農作物と向き合っておられます。
「自然相手だから仕方ないよ」そう笑って言ってのける奥様。
私達も自然の中に生かされている存在であることに腹を括っておられる姿に、何だか自分の中の大自然に対するおこがましさを見た気がして、少し恥ずかしくなりました。
日々、自然と、農業と向き合っておられるナカツカサファームさんの小麦粉。
収穫量の問題で通年の使用は難しいかもしれません、使用させてもらえる時には、パン作りに使わせていただきたいと思っています。